自衛隊入隊記【6】
久しぶりの自衛隊入隊記だ。
そうそう、6月に入って彼女と手紙のやり取りが始まったのだ。
この時代に手紙でやり取り。
一体何時代の人たち?と思われたかも知れない。
勿論、私たちは昭和の戦後生まれで、
第1次ベビーブーマーを過ぎた辺りに生まれ出た
いわゆる団塊の世代の人達より3つほど後に生まれた、
人呼んで『花の世代』である。
それでも、流石に手紙での遠距離恋愛というのは
滅多にないパターンだろう。
さて、彼女も少しづつ失恋の傷から癒やされ始めて、
手紙も1週間に1通くらいのペースでやり取りが続いた。
1日の訓練が終わり部屋に戻ると手紙が届いている。
その手紙を開いて読むのが怖くも有り、楽しみでもあった。
そして、夏の休暇があるので帰省することにした。
当時はまだ新幹線が開通していなかったので、
御殿場から高速バスで新宿まで出て、
上野から特急はつかりに乗って八戸に着いた。
11時間近くかかったような気がする。
なんて青森は遠いんだ!
久しぶりの青森の土を踏む。
静岡では青森のニュースは滅多に流れない。
よほどの凶悪事件かねぶた祭りとか
弘前公園の桜が満開などの全国区のニュースがある時以外、
「青森」と言う名前が出て来ないので、
八甲田山の山並みや私にとっての原風景などが夢に何度も出てきた。
ああ懐かしい!
「故郷の山に向かいて言うことなし。
故郷の山は有り難きかな。」啄木
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