春の馬
先日、三浦春馬の遺作とされる映画「天外者」(てんがらもん)を
映画館にて観る事が出来ました。
幕末から明治にかけて混迷する日本を経済で豊かにし、
諸外国と対等なるべく奔走した五代友厚と言う人物を
三浦春馬がはつらつとした演技で好演していました。
期待を裏切らない作品でした。
終了後、拍手がおこりましたが、その後誰も立ち去らないので
どうしたのかなと思っていたら生前の彼の撮影中の素顔や
笑顔で挨拶したり、ほっとした様子などがスクリーンに流されました。
それを見てすすり泣いてる人もいました。
自死の理由は本人にしか分からないものでしょう。
主人公五代友厚が最後、大勢の反対者の怒号の前に、病いを押しただ一人立ち、
隠れて血を吐きつつ声を振り絞って人々を説得する壮絶なシーンは、
三浦春馬そのものの叫び声にも聞こえました。
五代友厚は50歳で亡くなったけれど
三浦春馬はまだ30歳の若さ、惜しまれます。
そういえば、日本絵画の巨匠東山魁夷の作品には、
片隅に白い馬が描かれています。
東山魁夷によれば、その白い馬は「祈り」を表現したとありました。
春の馬は白い馬になってひっそりと
絵画の中に佇んでいるように私には思えるのです。
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