私の人生 【6】
メンズショップを退職した私は、自衛隊から採用通知が届くまで
実家に帰り、郵便物が届くのを今か今かと待っていた。
何もすることがないので、入隊に備えて基礎体力を付けねばと、
自己流で運動を始めた。
まず、陸上自衛隊は走れなければ使い物にはならないだろうと思い、
実家の目の前にある、標高約100メートルの山を登ることから始めた。
小さい山ではあるが、結構傾斜角度が大きくてゆっくり登らないと息切れして、
頂上まで登り切れないほどの山である。
子供の頃から近所の子供たちと一緒によく登っていたので慣れてはいた。
それなのに、緊張している自分は初めから自分にプレッシャーをかけて、
勢いよく登り始めた。
登る途中、いつもなら下界の景色を楽しみながら、何度か足を止めて
呼吸を整えて、また登り始めるのだが、その日は1回も休憩することもなく、
ただ黙々と頂上を目指して登って行った。
案の定、頂上に着く頃には口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどに、心臓の
高鳴りと肺が悲鳴を上げて、酸素を要求していた。
顔は真っ赤になり、汗が身体中ぼたぼたと流れ落ち、
完全に脱水状態になり、地面にへたり込んでしまった。
危なかった。2度とこんな無理をしてはいけないと思う反面、
こんな弱い体で、果たして自衛隊でやっていけるんだろうかと不安に駆られた。
何しろ、小学生の頃から短距離走は常に1位だったが長距離は苦手で、
走り始めると決まって横腹が痛むので、長距離走は常に苦手意識を持っていた。
ほとんど基礎体力を付けられないうちに採用通知が届き、
不安を抱えながら東京に向かった。…続く
<聖書の言葉> 詩篇32:8
わたしは、あなたがたに悟りを与え、行くべき道を教えよう。
わたしはあなたがたに目を留めて、助言を与えよう。
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