しわ
母は丸々とした人でした。
北国生まれで色が白く、ふくよかで丸顔。
子供の頃、母に抱きつくとお餅のように温かく柔らかだった事を覚えてます。
母は元気でしたが70代になると自然にふくよかさが止まり、
だんだん体も小さくなってきました。
でも相変わらず顔はまん丸でしわも深くありません。
80代半ば過ぎたころ、母の入浴を手伝った私は息を飲みました。
母の体はいつのまにか少しづつ痩せてふくよかさがありません。
あんなに白かった肌もくすんでしわが深くなり、
昔の面影はすっかり消えていました。
これが「老い」と言うものなのだと痛感しました。
でも、顔はやっぱり丸くてしわもそんなにひどくありません。
不思議に思うのですが、毎日、日に当たり雨風にさらされている顔より、
衣服に守られている体の方が老いていくのはどうしてでしょう。
やはり顔だけは化粧水を塗ったり、パックをしたり
鏡で毎日意識する部分だからでしょうか。
93歳で亡くなった時、孫娘にきれいにお化粧してもらい可愛い顔でした。
きっと母も喜んだと思います。
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