お化粧
今の若い人達のお化粧の見事さには驚かされます。
誰もがケータイのカメラ機能で自撮りが出来るようになり、
SNSで発信するようになったからでしょうか。
それより前にプリクラと言うのがブームで
自分をより可愛く写すことが楽しくなったからでしょうか。
驚いた事があります。
甥っ子の結婚式当日、美男美女の花嫁花婿が式場の庭園でカメラマンを前に、
モデルのような笑顔で自由にポーズをとっていました。
それを見守るお友達も皆さん、美しく着飾って
お化粧も愛らしく雑誌の一ページのようでした。
昔は、結婚式といえば花嫁花婿はカチンコチンに固まり、
化粧も人任せで “The 着せ替え人形” と言うふうでした。
今の若い人の美しいお化粧は細かく繊細で、陰影を考えたり
遠近法などで芸術的に仕上げるので、顔や目を、より鏡に近づけなければ出来ないでしょう。
昔のお化粧は平面的というか、鏡から少し離れて自分を見て、
乳液を塗っておしろいをはたき眉と口紅を指すぐらいのものでした。
嫁に行く時母が三面鏡を持たせてくれましたが
狭いアパートには大きすぎたようでした。
昭和初期の代表的な女流作家林芙美子の「晩菊」と言う小説には、
主人公の女性が化粧と着物の身支度をするシーンが出て来ます。
それはあたかも、戦場に行く兵士のような緊張感と、
中年女性の艶やかさが巧みな筆で書かれてありました。
お化粧は、古今東西、女性にとって
美しさと老いとの闘いを意味するのでしようか。
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